OluOlu通信
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​2020年2月発行

体調管理が大切な時期ですね

2020年最初のレッスンは、OluOlu思い出の場所でした
平等と合理的配慮

​1月19日のレッスンは、OluOluが活動を始めたばかりの頃にお世話になった公園で行いました!  この日は幸運にも雲ひとつない青空の下、太陽のポカポカを感じながらの練習でした。

練習前に、まずボールの扱い方の幅を広げることと、ストレッチを目的とした準備運動をしました。

ボールを地面に置いて、自分の足の周りにコロコロ回したり、足の間に転がしたりしました。しっかりとできてる子もいました。難しいと感じた子は、ボールの位置と自分の位置をきちんと把握できるように自分のボールでも練習すると良いですね。

今回の練習のテーマは「相手を意識する」こと。

そこで、いつもの鬼ごっことは少し異なって、鬼にボールを取られないようにボールをラインから反対側のラインへと蹴る練習をしました。鬼はゆっくり動いてくれますが、それでも蹴った方向によっては鬼に邪魔されちゃいます。しっかり狙ってボールを蹴ることができました。

テーマに沿った今回の練習のメインは、

2段階にわけたメニューでした。

1段階: パートナーとボールのパス練習をする

2段階: パートナーにボールをもらい、しっかり受け止める。後ろを振り返ってゴールを狙ってシュート!

1段階目は、今までも何度もやってきた練習メニューでしたね。なので、お互いの名前を呼ぶことも少しずつできていましたね。

2段階目の動きは、今まで行ったことがなく、とても複雑です。後ろを振り向いてシュートができるのかな、と心配しましたが、そんな心配なんのその。初めての練習メニューにもかかわらず、みんなとても上手にやってましたね。後ろを振り向いた時もバランスを崩すこともほとんどありませんでした。

高度な練習内容にもきちんとついてこれる子どもたちの成長に対してスタッフ一堂、満面の笑みでした。

そして、この練習の流れで挑んだ試合!↓

なんと、チームメイトからのパスを受けて、見事シュートまでの一連の流れを見ることができました。

コーチが、「パス!」と言った言葉に反応して、上手にパスをし、チームメイトもそれを受け取ってシュートにつなげる。

全員が素晴らしい動きを見せてくれました。

残念ながら点数には結びつきませんでしたが、また次があります。

今回のあまりにも大きな収穫は、周囲の声(コーチ)に反応して、その通りの動きができたこと。それによって連動した動きをチームメイトとしてすることができたこと。

継続してきた練習の効果と、スポーツをする楽しさの融合ができてきているのだと実感しました。

​この動きが、チームメイトの一人ひとりに浸透して、話となってつながっていくことがとても楽しみです。

友人から、放課後の学童保育について困っているんだよね、と聞きました。

春の進級に伴い、今までよりも1時間早い時間までしか預かってもらえなくなってしまうのです。今まではお迎えに行けていましたが、学童からの下校時間が1時間早くなると、お子さんが1人で危ない道を歩き、留守番をしなくてはなりません。小学生の子どもを持つ親にとっては誰でも心配になる状況。ましてや身体の状態に特別な配慮が必要なお子さんがいる友人にとっては、毎日、帰宅までの時間がとても不安だらけなものになってしまいます。

学校に相談しても、1時間の延長は認められず、担任の先生からは「一人で帰宅するという“自立”をさせるべき」というアドバイスを受けたそうです。学校としても例外は認めたくないという事情があるのだという事は想像できますが、「すべての子に同じ対応=平等」という一面的な平等の考え方が、非常に残念に思いました。

 

友人は学校だけでなく、関係各所に相談をしたのですが、なかなか良い解決策は見つかりません。区として何か対策はないものなのかと、私も気になり調べてみましたが、学童の担当窓口の方のお話では、例外は一切認めないため、地域の相互援助活動(地域の有志に利用料を支払いサポートしてもらう制度)を使って解決するように、という説明を受けました。また、福祉の窓口でも、有効なお話は伺えませんでした。

子どもの身体の状態などにより、1時間早い時間に帰宅させるには不安だという十分すぎる理由があっても、時間の延長などという対策は他の保護者からの要望と同じく、一切受け付けません、というのが現状のようです。

 

この話を聞いて思ったのは、平等とは何か、ということです。

区や学校は、例外は一切認めない、という「平等の対応」をしていることは分かります。

でも、色々な心身の特徴や家庭環境など、異なった状況がある子供たちがいる学校の中で、皆に同じ対応をすることだけが平等というのでしょうか。どんな背景の子でも、安心して学び安全に過ごすことができる、という視点での「平等性」も見て、対策を取って欲しいと思いました。

 

 

障害者差別解消法という法律の中で、「合理的配慮」の大切さが書かれています。合理的配慮とは、かみ砕いて言うと、障がいなどがある人が生活をする際に困ってしまう事・助けが必要な事に関して、事業者の過度の負担にならない範囲でその障壁を取り除こう、という考え方です。

 

スポーツ観戦のイラストを使った説明を目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。スポーツ観戦で塀の前に立つ3人の人。1人は長身で塀があってもよく見える。もう1人はぎりぎり頭が塀に隠れてしまって背伸びをすれば見える。3人目は塀のせいでまったく見えない。一面的な「平等」の考え方では、3人共に、脚元に同じ高さの踏み台を置く考え方。これで、中間の背の高さの人は見えやすくなるが、依然として低い人は見えない。また、長身の人は元々見えていたので実は踏み台が必要ではない。そこで、長身の人には踏み台をなくし、中間の人には1つの踏み台、背の低い人には2つの踏み台を使えば、3人ともよく見える状況になる。背が低い人は、2つの踏み台の上に立てば見えるので、ハイチェアに座らせるという過度な対応はこのケースにおいては必要ではない。

この考えが、「合理的配慮」で、それにより、3人とも「平等に良く見えるようになった」と言えます。

合理的配慮

話を戻しますが、特別な配慮が必要な子どもが、他の多くの児童と同様に学校生活を安全なものにするため、帰宅路と留守番が現段階では危険であると保護者が感じた状況では、合理的配慮がなされてもいいのではないか、と思いました。

例外は認めないという平等の対応から、安全に安心して帰宅できるようにするという合理的配慮への転換です。

 

それを行うのはきっととても難しいだろう、という事ももちろん分かります。様々な背景の子ども、様々な背景の家庭がある中で、組織として、誰にどの程度の対応をするのかは、判断が難しいでしょう。例外は簡単には認めたくない、という気持ちは分かります。

しかしながら、そのような声を無視しては、現実の生活に密着したレベルでの合理的配慮のある社会の実現は、難しいのではないのかと思います。

 

そのために私は、OluOluは、何ができるのか。

声を上げ続けることだと思います。

障がい児の子育てを通して見ると、それまで感じていた平等が、一面的だったと思うことがあります。そして別の角度から見える平等に気づくことがあります。きっと、どちらの平等も正しい。でも双方の平等が異なれば異なるほど、歪を生みます。

当事者の立場で、合理的配慮が現実に即したものになるため、そして、合理的配慮を掲げる障害者差別解消法が、名ばかりの法律にならないために、声を上げる続けることが大切ではないかと思っています。

 

わたしたちOluOluは、障がい児のスポーツ・文化活動の応援団であり、彼らを育てるお母さん、お父さんの仲間でもあります。仲間として、悩みなどを共有し解決のために一緒に考え、そして発信していける団体になれたらいいなと思います。

​(文責: 恩田)

最後のあいさつも上手にできました

​練習後は、ちゃっかり甘えてブランコで遊んでもらっていました

(文責: ウォーク)

ご要望にお応えして、今後ストレッチの紹介をしていきたいと思います。

今回は、大塚コーチによる紹介です!

今回からストレッチの方法について、少しずつ紹介させていただこうと思います。

単にストレッチと言っても様々な方法がありますが、ここでは筋肉を伸ばして、可動域を広げるようなストレッチについて紹介します。

 

 方法を紹介する前に、今回は初回ということで、ストレッチを行う際の基本から確認しましょう。

 

① リラックスして身体の力を抜く

 ストレッチはリラックスして行いましょう。痛いのに我慢したり、また息を止めるようなストレッチは、力が抜けにくく、筋が伸びづらくなってしまいます。また、「ストレッチは辛くて嫌なものだ」とお子さんの意欲低下につながりかねません。

② 反動をつけずにゆっくりと伸ばす

反動のように急激に伸ばされると、筋は損傷しないよう反射的に縮もうとし、逆に伸びづらくなってしまいます。時間をかけてゆっくり伸ばしましょう。

③ 1回20秒程度を、毎日複数回行う

上記がベストですが、毎日行うというのは正直ハードルが高いかと思います。少なくとも3日以上あけないようにしましょう。秒数は筋肉の大きさによって異なるため、あくまでも目安となります。

④ 伸ばしている筋を意識して伸ばす

どこを伸ばしているのかを意識することで、目的が明確化し効率が上がります。お子さんには一緒に行う方が促してあげましょう。

⑤ リスクに注意する

お子様によって、身体のつくりは異なります。リスクに注意し、身体にあった方法を選択することが必要な場合があります。Dr、PTなど専門家にも相談しつつ、行っていくようにしましょう。

 

上記のような点に注意して行いましょう。

 

 

ストレッチで得た柔軟性を維持するためには、その柔軟さを生活の中の動作に活かしていくことが重要です。

例を挙げて言うならば、①足首が硬くてしゃがめない、②足首のストレッチを行う、③足首が柔らかくなりしゃがめるようになった、④生活の中でしゃがむ動作を取り入れる。というようなことが必要となります。

ストレッチと合わせて、いろいろな体の動かし方をしていくことも、身体の柔軟性を高めていくことにつながってきます。

oluoluのような運動機会を活かして、たくさん身体を動かしていきましょう!

それでは第1回目として、ももの裏側、ハムストリングスのストレッチについて紹介させていただきます。

 

ハムストリングス(もも裏の筋肉)

筋肉の働き

 

・ 股関節を伸ばす

・ 膝を曲げる

 

固くなると

・ 膝が伸びづらくなる

・ 腰への負担が大きくなる

 

ストレッチの方法

・長坐位(静的ストレッチ)

 

 

 

① 脚と腰を真っすぐ伸ばして座る

② 脚の付け根から折れるように体を倒していく

*腰を曲げるのではなく、あしの付け根から曲げていく(骨盤から倒していく)

*膝は曲がらないようにする

*膝のお皿とつま先はまっすぐ上に向ける

 

・ジャックナイフストレッチ(動的ストレッチ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

① しゃがんで踵をしっかりとつける

 足首を持ち胸とももをつける

② ゆっくりとお尻を上げ、頭を下げていく

 5秒程度キープする

③ おしりを下ろしていく

④ 5回ほど繰り返す

 

ご意見、ご質問等ございましたら

oluolu コーチ

神奈川リハビリテーション病院 PT 

大塚 匠

​①

​②

​①③

​②

突然ですが! スウェーデンに留学中の菊地コーチから現地レポートです!! (その1)

去年の夏からスウェーデンに留学している菊地先生から、現在勉強していることに関して色々と教えてもらうことになりました。少し難しいかもしれませんが、遠い寒い国で頑張っている菊地先生。ぜひ読んでみてください。感想などもありましたら、本人の励みにもなります。

来月号でも違うテーマで報告していただく予定ですので楽しみにしていてくださいね。

現在スウェーデンのウメオという北極圏まであと少しのところにいる菊地コーチです!お久しぶりです!

こちらのウメオ大学では、博士課程の研究の基礎知識の獲得と、スウェーデンの福祉を学ぶことを目的に、主に心理学と社会学(福祉分野)の授業を履修しています。授業で知ったことや特別支援学校の見学を通して、情報収集を行ったので現在までに分かったことを皆さんにご報告させていただきたいと思います。

 

今回のテーマは、『スウェーデンの障がい児関連政策』です。

スウェーデンというと、「福祉国家」という言葉を聞いたことあるかと思います。これは、「高負担高福祉」を意味しています。これは、スウェーデンの税金は日本と比べてとても高いですが、老若男女すべての人に対しての公共サービスを国が負担してくれるということです。例として、子ども関連の政策の成果をいくつか挙げると、

・教育費無料(小中高はもちろん、大学は年齢問わず)

・医療費20歳未満85歳以上無料

・子ども手当支給(両親揃えば月額¥14000/子ども1人)

・育児休暇が父母それぞれに240日与えられる

などなど。こういう政策からも分かるように、スウェーデンにとって子どもを大事にする精神が見て取れました。

そして、スウェーデンを含めた北欧の教育といえば、「ノーマライゼーション理念」や「インクルーシブ教育」を聞いたことがあるかと思います。知らない方のためにも、それぞれの定義を説明したいと思います。

ノーマライゼーション理念というのは、「社会で日々を過ごす一人の人間として、障がい者の生活状態が、障がいのない人の生活状態と同じであることは、障がい者の権利である。障がい者は、可能な限り同じ条件のもとに置かれるべきであり、そのような状況を実現するための生活条件の改善が必要である。」と、1951年にデンマークのニルス・エリク・バンク-ミケルセンが提唱した考え方になります。個人的には少し違和感がある考え方ですが、1950年代以前は障がい者を「分離」「隔離」「特殊化」する思想が主流となっていたことを考えると、妥当な考え方のように思います。

UNESCOのサマランカ宣言(1994年)において、インクルーシブ教育というのは、「特別な教育的ニーズのある児童・青年を、大多数の児童を対象とした教育制度に受け入れることを意味している。(中略)インクルーシブな学校は、生徒の学習スタイルと学習速度の違いに配慮し、適切なカリキュラム、組織体制、教育戦略、リソースの活用及び地域社会との連携により、すべての人に質の高い教育を保証しながら、生徒の多様なニーズを認め、これに対応しなければならない。」と記述されています。

スウェーデンのインクルーシブ教育は、「場の統合」を1970年代から始めていました。「場の統合」というのは、障がいのある児童のための特別支援学校を“通常”の学校の敷地内に設置することを意味しています。2010年に学校法(SFS)という法律が改正され、知的能力(IQが70以上)に問題がないと判定された児童は通常級で授業を受けなければならないということになりました。これに対して世論が割れた点があったそうです。というのも、それまでは知的能力に問題のない子どもでも希望があれば特別支援学校で教育を受けることができ、いわゆるボーダーラインの子どもが特別支援学校へ入学することもありました。しかし、この改正により、そういった子どもたちは強制的に普通級に移動させられてしまい、環境の変化から不登校や登校拒否をする子どもが急増してしまうという事態が起きてしまったのです。現状では、こういった児童や発達に遅れの見られる子でも、普通級に通っている場合は、アシスタントティーチャーが個別で指導を行ったり、そういった子どもを集めて集団指導を行っているようです。そして、行動面に問題のある子どもの対応もアシスタントティーチャーが別の教室で授業の間に補習を行うなどしているようです。教員が1クラスに2人いることが原則になっている国ならではの合理的配慮がなされています。

上記の不登校や登校拒否児の増加などを知るまでは、スウェーデンのインクルーシブは完璧だと思っていましたが、実際はいまだに本当の意味でのインクルーシブとは、どういったものなのかを追求している途中なのかもしれないとも感じました。

 

そして、スウェーデンの教育や医療の関係性の中では、障がいのある児童に関する情報は、日本に比べると簡単に得やすいように思います。日本の場合、母親がキーパーソンとなって学校における教育面、病院やリハビリなどの医療面、発達相談などの福祉面それぞれをつないでいることがよく見受けられます。地域によっては、自治体の福祉課の方々がそれぞれの分野をつなげてくれているケースもありますが、日本全体の中でいえば少数ではないかと思います。これが、スウェーデンの場合は、学校教育や保育園やプレスクール、学童などはMunicipalities(自治体レベル)が統括し、生後からの情報を一括で管理しています。また、医療面に関しては、County(県レベル)が管理しています。そのため、自治体レベルだけでなく、医療面の介入を要する子どもの場合は、県レベルへ相談することが一般となっています。実際には、それぞれの自治体にハビリテーション施設を置いているため、各自治体が相談すべき医療の窓口は明確になっているようです。そのため、対象の子どもの関係者が必要な情報を得ることが比較的容易となっていて、各職種の連携も円滑になっており、必然的に情報が交換されているようです。そして、私自身も有している資格の、理学療法士のような医療専門職は治療というよりも評価・アセスメントが中心に活動を行っています。生活面で困っていることに対して物的資源を使うなどして、在宅での生活に適応しやすい環境を整えるような働き方をしているようです。

しかし、スウェーデンでは、日本と違い病院で治療を受けるというのは余程の時でしか行かないというのが一般常識になっています。というのも、前述したように国が医療費を基本的に賄っているため、できるだけ必要な人に医療を充てたいという意向であるというのが、一番の理由のようです。そのため、病院を予約してもだいぶ先の予約になってしまったり、処方箋に記載されている薬の処方数も日本に比べると少ないようです。

このような背景もあるためか、重症心身障がい児の子どもたちは、医療的ケアが必要であっても基本的には病院ではなく、在宅または施設での生活をすることが国の方針となっています。障害に対するポリシーなどでも家族と生活する時間を尊重したり、スウェーデンの風習的に高齢者は家庭で介護を受けながら生活することが一般的になっていることも相まっているのではないかと思います。

このように、医療面においても日本とは違った面が多くあります。自分自身が理学療法士としてスウェーデンで働いている姿を想像してみましたが、これまで日本で私が行ってきた理学療法とはまた違う側面が見え、具体的にどのような違いがあるのか興味が湧きます。今後、理学療法士の方に同行させていただける機会があるので、そこでまた情報を収集したいと思います。

「スウェーデンの障がい児関連政策」をいくつか紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。障がいのある子どもは、教育、福祉、医療と言った様々な分野が連携する中で生活することになりますが、その流れを円滑にしつつ、公的サービスを充足するといった意味では、スウェーデンは一つのモデルになっていると思います。日本でも重度障がい者が参議院選挙で当選するなど、少しずつ「障がい」の分野が拡大を見せている中で、今後の社会や国家はどのような方向に舵を切るのでしょうか。

 

首都大学東京大学院・博士課程所属 菊地謙